コラム

COLUMN

産業集積地域/中小企業の町―東大阪市と大田区の比較

(2002年5月)

しつこく、資料を集めて考察してみました。

東大阪地域の産業集積中小企業の課題

東大阪の町工場東大阪市と大田区との比較。 分業関係の広さの問題 東大阪の町工場大田区の場合は、客観的に工場減少を食い止めるのは難しいという状況のもとで、区内では減少する傾向のなか、周辺の京浜工業地帯、関東圏、広域関東圏(南東北=山形、宮城、甲信越=山梨・長野・新潟、さらに静岡あたりまで)との関係を強めている様子がうかがわれます。これは、オープンに地域間で分業関係を強めていることと言えるのではないでしょうか。大田区のもっている工業の機能というのはそれほど低下はしていないという点は、オープンな共存という考え方からきているようです。

昨今では、その分業圏域がさらに広がっていく傾向がみられます。東アジアまで視野に入れたグローバルな展開がすすみつつあります。

東大阪と比べると、大田区は昔からそれら地域圏との関係は従来より強かった。これは見習う点であるのではないかと思います。

東大阪地域の分業関係はそれほど広くない状況でしたが、次第に東大阪市の企業も東アジアの市場、企業を重視し、見本市などで東大阪ブランドを売り出していく努力をはじめている様子です。

技術の高低と需要の幅

技術が高さと、需要の幅を考えると、ある程度の加工技術があれば重要の幅は広くなり、高い技術になるとそれは狭くなる。超精密加工~宇宙もの、原子力などになると増々狭くなる。東大阪・大田区はそうした部分の企業が多いと評価されています。

技術がある程度のレベルの場合は、いろいろなものに使われる。東大阪市はこのような企業も多く、需要の幅がある。大田区の場合は、需要の幅を広げられない悩みがある。

これらの問題は、国内で考えた場合である。将来的な事を考えると、海外の企業もそうした競争に加わるのは必然である。その場合影響受けやすいのは東大阪地域である。海外との関係が強まるのは確かななか、アジアの急速な回復により、それらとの競争はこれから本格化する兆しがある。

これまでの東大阪地域の特徴が、これからも通用するのかは問題がでてくる。デジタルデバイド(情報格差)が懸念されている中、東大阪が生き残れるかどうかはこれからにかかっているのではないでしょうか。

労働運動との関係

大田区は歴史的に労働運動が盛んな地域。その影響がいまだにある。いまでも労働組合が200ぐらいある。おそらく東大阪と比べるとずっと多いはずである。ここから生まれてくる中小企業経営者が大田区では多い。そういう地域との違いがどう現れているのかは、予測できない世の中になってきました。

自主的な中小企業組織の存在

東大阪ではあまり活発ではないように思えるが、大田区の場合、異業種交流・業界・団地・企業主間の交流が活発である。大田区では運動体以外の自発的な特定の政治色のない純粋の中小企業団体があり、言いたいことを言う団体がいくつかある。それ以外にも運動体としての民商や同友会とかがある。そうした自発的な団体・グループが地方自治体に対して影響力をもつようになり、行政と経済団体などの協力関係ができている。

そうした組織が生まれてこないと、東大阪は、行政が変わらない。東大阪市も最近活発であるが20年遅れているといわれている。運動の側のアピールのちがいがあるのは、否めないのかもしれませんね。

このコラムが、一石を投じるきっかけになったら幸いです。